分譲マンションにお住まいの方は大半が輪番制で役員を選任していることが多いと思います。
大手マンション管理会社でフロントとして現役で働いている僕が、輪番制のデメリットをご紹介します。
マンション役員の選び方。フロント担当が輪番制のデメリットをご紹介

まず第一にマンション管理組合の役員の決め方については「これが正解だ!!」という方法がありません。
あれば教えてほしいくらいです。
もしそういう方法があれば、こんな悩みなんてないですよね。笑
ただ一つ言えることは、輪番制を採用しているマンション管理組合が多いという事です。
✔輪番制とは
単純に順番(輪番)で役員を選ぶ方法です。
イメージとしては今年は101・102・103・104号室が役員で
来年は105・106・107・108が役員というような形です。
実態として、管理会社が輪番制を提案しているケースが多いかもしれませんが
今回僕がご紹介したいのは、
輪番制はダメということではなく、
輪番制で役員を選任するのであれば、そのデメリットやリスクを知っておいた方が良い
ということです。
管理組合の役員と一番近くで接している管理会社のフロントだからこそ分かる
輪番制のデメリットやリスクを纏めましたので、さっそくご紹介していきますね。
理事会が成立しないリスクがある

「理事会が成立しない」と言われてもピンとこない方がいるかも知れませんが、
理事会というのは、「理事の半数が出席しないと会議として成立しない」と
管理規約(マンションのルール)で決まっています。
役員になっても理事会に出席しない方や
出席したくても出来ない方が出てくる可能性があります。
そしてその可能性はフロントとしての経験上、非常に高いです。
そして「理事会が成立しない」ということは、
決定しなければならないことを決定出来ないというリスクがあるということです。
ご高齢や体調不良という致し方ない理由で理事会に参加できない方もいますが、
✔「役員なんてやりたくない」
✔「完全無視」(理由は不明)
という理由で理事会に全く参加しない方が一定数いるのも事実なんですよ。
僕はフロントをしていてこういう方を何度も見てきています。
定期総会に一度も出席したことがなく、委任状も提出してくれないような方は
このケースに当てはまる可能性が高いので要注意ですよ。
事前に役員候補に連絡を取り役員就任が可能かどうかを確認することで「理事会が成立しない」というリスクを軽減させることが出来ますよ。
役員に適任ではない人が選任されるリスクがある

僕はフロントという仕事をしていて、声を大にして言いたいことがあります。
それは、管理組合の役員は誰でも良いというわけではないということです。
僕が思う役員に適任でない人というのは
✔管理費等を滞納している人
✔ペット飼育が禁止されているマンションでペットを飼育している人
✔マンション内で頻繁にトラブルを起こしている人
✔人として問題のある人(これが一番厄介です)
マンションのルールを守らないような人や、人として問題のある人が役員になることで
管理組合に様々なリスクが発生する可能性があるので要注意です。
✔管理費等の滞納を放置する→時効となる→管理組合として滞納している管理費を請求できなくなる。
✔ペット飼育を可能にするような議題を総会に上程する。
✔自分の都合の良いようなマンション内のルールを作成する。
✔自分の利益を目的に業者と癒着する。
管理費等の滞納者や管理規約違反をしている人は役員にしないような運用にすることで「役員に適任ではない人が選任させるリスク」を軽減できます。
僕が実際にあった経験ですが、管理規約違反をしている人は役員にしないような運用
にするようにしたところ
「管理費を滞納したり管理規約を違反している人が役員という業務を免除されるのは不公平だ」
という意見がありました。
気持ちは分かりますが
「管理組合の役員は誰でも良いですか?」ということです。
僕は「管理組合の役員は誰でも良いというわけではない」と思います。
マンションのルールである管理規約を違反する人が
所有者全員が支払っている管理費等の使い道を決めたり
所有者全員の貯金である修繕積立金の使い方を検討することは適任なのでしょうか。
輪番制を採用している管理組合は定期総会の時などの所有者が集まる場で意見交換をしてみることをおすすめしますよ。
役員選任の運用については、定期総会で事前に承認を得ておきましょう。
事前に一定の運用方法を定めなければ、
「今年は自分が役員の年なのに、なぜ自分は役員になれないんだ」
というようなトラブルになるケースもあるのでご注意して下さい。
輪番制のデメリット・リスクをご紹介しました。
次に輪番制に+αの方法を採用しているケースをご紹介しますね。
輪番制に+アルファの方法
輪番制というのはそもそも毎年役員が変わっていくので、組織としては非常に弱い形となります。
わかりやすくいうならば、「管理会社まかせ」「管理会社のいいなり」といったところでしょうか。
こういったことを危惧して、輪番制に+αの方法をとっている管理組合があるので、簡単にご紹介していきますね。
相談役・顧問・アドバイザーという役職を設けている

輪番制で役員を選んでいたけどそれでは適正な管理組合運営が難しいということに気づいて
相談役・顧問・アドバイザー(以下「相談役」とします)
というような名称で同じ方が複数年にわたり理事会をサポートする形をとっている場合があります。
通常の輪番制より管理組合運営が円滑に進みやすいため
良い点は沢山あるのですがこの方法にもいくつか注意しなければならないポイントがありますのでご紹介しますね。
相談役がいなくなる可能性がある

相談役といっても、長期間お願いできる保証はない。ということに注意しましょう。
✔転居等によりマンションからいなくなるケース
✔体調不良で引き受けてもらえないケース
相談役をたよりにしすぎて管理組合運営に無関心な方が増え相談役がいなくなった場合に管理組合運営が機能しなくなるリスクがあるということですね。
相談役を設けるのであれば2名程度にした方が良いと思います。
次に相談役を設けることのリスクをご紹介しますね。
役員とのトラブルに発生する可能性がある

相談役の人柄によりますが長年管理組合運営をサポートしていると稀に「自分は偉い」というような勘違いをされてしまうケースがあります。
相談役が役員に対して横柄な態度になったり頭ごなしに役員に指示をしてトラブルになるケースもありますので人選には注意が必要です。
固定のメンバー(役員)で長年管理組合運営をしている

この方法を採用している所は築年数が経過しているマンション管理組合で多い傾向にあると思います。
役員の方々が常識人であれば管理組合運営が円滑に進むので何の問題もないのですが注意するポイントがあります。
理事長や役員が工事業者と癒着している可能性がある。

稀にあるケースですが理事長や役員が工事業者と癒着しマンションで発生する工事受注の見返りとして金銭や金品等を授受や接待を受けていることがあります。
役員が経営する工事業者に仕事が発注されているケースもあります。
工事業者間の適正な競争原理が働かないため、割高な工事費を支出し続けることになりますので要注意です。
対策としては、監事を輪番性にする方法や各種工事の明細(工事業者・工事内容・金額)を総会資料に記載するルールにすることで不正の抑止にはなると思います。
高額な報酬を得ている可能性等がある。

役員報酬を定めている管理組合はご注意下さい。
高額な役員報酬を得ているケースや理事会終了後の懇親会などで高額な飲食代を支出しているケースがあります。
管理費会計の各種支払いの明細を総会議案書に添付するルールにすることで抑止力になると思います。
最後に
今回はマンション管理組合の輪番制のリスクやデメリットをご紹介しました。
役員の選び方には正解はないので非常に難しい問題だとは思いますが総会の時などに役員の選び方について意見交換を行ってみた方が良いと思いますよ。