実態にせまるシリーズ

マンション管理会社は業者から紹介料(バックマージン)を貰ってる?

マンション管理会社って業者から紹介料(バックマージン)を貰ってるの?管理会社が紹介してくる業者って高くない?

分譲マンションにお住まいの方はマンション管理会社に対してこんな疑問を持っていると思います。

2005年から現役で分譲マンション管理会社にてフロントとして働いている僕がマンション管理会社の紹介料(バックマージン・キックバック)の実態をご紹介します。

マンション管理会社は業者から紹介料(バックマージン)を貰ってる?

結果から言うとマンション管理会社は業者から紹介料という名目で「バックマージン」を貰っています。(「キックバック」と表現する場合もあります)

マンションの管理業界では当たり前の話ですが、マンション管理会社の収益は管理組合が支払っている管理委託費だけではありません。

独立系マンション管理会社とデベロッパー系管理会社、地場の管理会社で収益構造は異なりますが、独立系マンション管理会社や地場の管理会社の方が管理委託費以外の収益に依存している傾向が強いです。

独立系マンション管理会社や地場の管理会社は、デベロッパー系管理会社と比較して毎月の管理委託費が安価に設定されています。

必然的に管理委託費以外の収益が必要となります。

近年、大手雑誌社(DIAMOND)がマンション管理会社が紹介料(バックマージン)を貰っている記事を出したことから、

大手管理会社は紹介料(バックマージン)を貰わない方向へシフトしている傾向があります。

「バックマージン」や「キックバック」といった言葉はイメージが悪いですもんね。

現役でマンション管理会社で働いている僕が、管理委託費以外の収益である紹介料(バックマージン)について具体的にご紹介していきますね。

修繕工事業者からの紹介料(バックマージン・キックバック)

工事業者

マンションでは少額な修繕工事から高額な修繕工事まで様々な工事が発生します。

管理組合から工事業者に支払われた工事費の10%~20%という金額が紹介料として、工事業者から管理会社に支払われます。(紹介料の割合は管理会社や工事業者によっても異なります。)

この紹介料がいわゆるバックマージンやキックバックと言われる物ですね。

ここでいう工事業者とは管理会社の協力業者です。

すべての工事業者から手数料を貰っているということではありません。

マンション管理会社において修繕工事の紹介料(バックマージン・キックバック)が発生しているのが実態であり、

修繕工事による紹介料(バックマージン・キックバック)これが管理会社にとって管理委託費を除く一番大きな収益源となっているのが実態です。

管理会社によっては、フロントに工事受注の目標金額や工事受注ノルマが設定されているところもあります。

最近の大手管理会社は自社で工事を受注する体制を整え、業者から手数料(紹介料)をとらない方向にシフトしている傾向があります。

清掃業者からの紹介料(バックマージン・キックバック)

清掃

マンションでは定期的に共用部の廊下や窓ガラスを清掃業者にて清掃を行います。

いわゆる「定期清掃」といわれるものです。

これらも管理組合から清掃業者に支払われた清掃費の10%~20%という紹介料(バックマージン・キックバック)が清掃業者から管理会社に支払われます。

定期清掃については基本的に毎年決まった月に実施されるため、毎年変わらない紹介料(バックマージン・キックバック)が管理会社に支払われます。

現在は多くの管理会社が契約の中に定期清掃の業務を含めていることが多く、業者から紹介料はとらない方向にシフトしている傾向があります。

設備点検会社からの紹介料(バックマージン・キックバック)

点検

マンションでは、消防設備の点検やエレベーターの点検等の法律で実施する事が義務づけられている点検(法定点検)や、自動ドアや宅配ボックス等の任期の点検を実施します。

これらも管理組合から設備点検業者に支払われた点検費用の5%~10%という紹介料(バックマージン・キックバック)が設備点検業者から管理会社に支払われます。

紹介料は支払わないという業者やメーカーもありますのですべての点検で発生しているわけではありません。

現在は多くの管理会社は、管理委託契約の中に設備点検費用を含めているが多くなってきており、業者から紹介料はとらない方向にシフトしています。

工事設計会社からの紹介料(バックマージン・キックバック)

工事設計会社

一般的には、マンションの大規模修繕工事や給水管改修工事をする際に、現状を調査するために工事設計会社や設備診断会社にて建物診断や設備診断というものを行います。

この工事設計会社や設備診断会社から10%程度の紹介料(バックマージン・キックバック)が発生しています。

建築部門や設備部門があるような大手管理会社は自社で建物診断や設備診断を受注する体制が整え現在は紹介料が発生しない仕組みを作ってきています。

建物診断や設備診断というのは、多額の修繕積立金を使って行う「大規模修繕工事」や「給水管改修工事」への足掛かりとなります。

管理会社のフロントは自社で受注するか又は自社が紹介した業者工事設計会社や設備診断会社へ発注されるようにするのが仕事です。

各種専有部サービスの紹介料(バックマージン・キックバック)

サービス

お部屋の中のお掃除サービスやリフォームなど管理会社から案内される戸別の有料サービスはすべて業者から管理会社に紹介料が発生します。

こちらの紹介料は広告料という名目で管理会社に支払われているケースもあります。

この紹介料についてはサービス内容によって固定額のものもあれば、10%という割合のものもあり多種多様です。

各種専有部サービスについては、入居者が個人的に業者に依頼するよりも、管理会社を通した方が安くなることもあるので、WINWINなサービスになっていることが多いですよ。

管理会社のビジネスモデルが紹介料を貰う形になっている。

ビジネスモデル

ご紹介したとおり、現状の管理会社のビジネスモデルです。

前段でもご説明しましたが、

紹介料・バックマージン・キックバックというのは、グレーな印象があるため

大手管理会社は自社で工事や点検、清掃等を受注する体制を整え

受注した工事の責任を負ったうえで利益を得ていく方向にシフトしています。

地場の管理会社は、管理委託費を安価に設定していることや自社で工事等を受注する体制が整っていないことから、紹介料収入を得るビジネスモデルから脱却することは難しい状況です。

最後に

管理会社の紹介料(バックマージン・キックバック)の実態をご紹介いたしました。

マンション管理会社で働ているフロントの個人的な意見としては、

責任はとらずに紹介料だけ業者からもらうというのは管理会社として良いイメージではないので、

清掃・点検・工事等は管理会社が請け負って責任を負ったうえで適正な収入を得る方向に業界がシフトしてきていることは良いことだと思います。