マンション管理会社に転職を検討されている方はこんな疑問があると思います。
2005年にIT業界から独立系マンション管理会社へ転職しその後デベロッパー系管理会社へ転職した経験のある僕が、
「フロントにはノルマがあるのか?」という疑問にお答えしますね。
管理会社への転職を検討されている方は是非参考にしてくださいね。
【転職者向け】マンション管理会社のフロントってノルマはあるの?

結果から言うと、「ノルマ」の有無は管理会社によって異なります。
正確にいうと、「ノルマ」という表現ではなく、「目標」とされていることが多いですね。
大きく分けると、独立系のマンション管理会社とデベロッパー系の管理会社でこの「ノルマ(目標)」の有無が違います。
✔独立系のマンション管理会社とは?
マンションを建てたり販売したりする親会社を持たない分譲マンション管理会社です。
大手でいうと「日本ハウズイング」や「合人社計画研究所」などですね。
✔デベロッパー系の管理会社とは?
マンションを建てたり販売したりする親会社を持つ分譲マンション管理会社です。大手でいうと「大京アステージ(親会社は大京)」「東急コミュニティー(親会社は東急不動産ホールディングス)」「三菱地所コミュニティ(親会社は三菱地所)」などですね。
求人広告だけでは給料の違いぐらしかわからないですよね。
それでは、具体的な内容をご紹介していきますね
ノルマ(目標)の有無

就職や転職を検討するうえで「ノルマがあるかどうか」ということはとても気になるポイントですよね。
僕自身がノルマや営業成績に追われる仕事が非常に嫌いなため、転職の際には重要視しました。
僕的にはノルマというものは、精神面に関わってくるので、非常に重要なポイントでした。
別記事で紹介していますが、前提として分譲マンションの管理会社は「管理委託費」以外にマンションで発生する工事や点検、清掃等で収益を上げています。
どこの管理会社でも、フロントは担当しているマンションで発生する工事や点検、清掃等を
自社又は協力会社で受注できるように提案するのが仕事です。
この工事や点検、清掃等の受注について、デベロッパー系管理会社と独立系管理会社の違いをご紹介していきますね。
デベロッパー系管理会社の実態
全てのデベロッパー系管理会社を調べたわけではありませんが、大手マンション管理会社は業界団体である「高層住宅管理業協会」に加盟しているんですよ。
僕が「高層住宅管理業協会」で他社の管理会社のフロントと意見交換をした範囲内での情報をご紹介しますね。
✔工事受注に関してノルマがないところが多い
✔ノルマがない=工事受注による手当もない
✔給料は基本給+残業代と賞与(年2回)が支給
✔基本給は独立系と比較すると高額に設定されているケースが多い。
✔残業代も全額支給されるケースが多い。
ノルマがないのをプラスととらえるか、手当がないのをマイナスと捉えるかは、人それぞれかも知れませんね。
僕は断然ノルマが無い方が良いタイプですね。
独立系管理会社の実態
こちらも全ての独立系管理会社を調べたわけではありませんが、僕がもともと独立系管理会社にいた経験や、他の独立系管理会社や地場の管理会社から転職してきた方からの情報を基にしています。
✔工事受注に関してノルマ(目標)があるところが多い
✔工事受注による手当があるところが多い。(手当を貰えるまでのハードルは高い)
✔給料は基本給+手当と賞与(年2回)が支給
✔基本給はデベロッパー系と比較すると安価に設定されているケースが多い。
✔みなし残業を設定しているケースが多い。(例:月20時間までの残業は基本給に含む)
独立系管理会社においては、工事受注のノルマを大きく達成すればデベロッパー系管理会社のフロントよりも年収を上回ることが可能です。
しかしノルマが高く設定されているので安定的にノルマを達成出来るのは一握りのフロントというのが現実のようです。
独立系管理会社においてノルマを達成できなくても給料が下がることはありません。
基本給が安いのでノルマ達成による手当がなければちょっと厳しい給料になります。
ノルマの有無についてご紹介しましたが、
それ以外で僕が感じるデベロッパー系管理会社と独立系管理会社の違うところを簡単にご紹介しますね。
デベロッパー系管理会社と独立系管理会社の違うところ
僕はデベロッパー系管理会社と独立系管理会社の両方で働いた経験があるからこそ、違いがわかっていると思っています。
僕としては、デベロッパー系管理会社の方が肌にあっていますが、
それでも人によっては、独立系管理会社の方が良いというフロントもいます。
それでは、簡単に違いをご紹介しますね。
企業風土によるコンプライアンス順守意識の違い

企業風土と言われてもわかりにくいですよね。
簡単にいうと「会社としての考え方」的なことですね。
デベロッパー系管理会社は親会社が建てたマンションを管理しているため、
位置づけとしては子会社です。
親会社の名前に少しでも傷をつけるわけにはいかないという考え方が強く
コンプライアンスには非常にうるさいです。
<デベロッパーの企業風土の特徴>
✔役員は親会社やグループ会社の天下りのためフロントから役員まで出世することは難しい
✔コンプライアンスにうるさくルールが非常に厳格であり、顧客からの要望に融通が利かないためフロントとしては煩わしさを感じる
✔フロントが花形の部署ではない。
✔フロント部門からの他部門への移動がある。
✔出世する人はフロント経験だけではなく総務部門や人事部門、経営部門等を経て行く人が多い。
✔新卒を採用しているケースが多い。
独立系管理会社はデベロッパー系管理会社と比べるとコンプライアンスにはそこまでうるさくないですが、結果主義の所が多いです。
<独立系の企業風土の特徴>
✔フロントから役員まで出世する人が多い。
✔仕事が出来る人は出世が早い。(ノルマを130%達成しているフロントと80%しか達成していないフロントでは給料や賞与が異なるのも当然ですが出世のスピードが異なります。)
✔コンプライアンスにそこまでうるさくない。(もちろん最低限のコンプライアンスは守っていますよ)
✔一定のルールはあるが、フロントとしては自由に仕事ができる。(融通が利く)
✔フロントが花形の部署であることが多い。
✔中途採用が多い。
デベロッパー系管理会社は公務員のようなイメージで
独立系管理会社は外資系のようなイメージですね。。
フロントの価値観の違い
デベロッパー系管理会社のフロントは工事受注の手当がないので
工事受注に関してぎらぎらしているフロントは少ないです。
「定時で帰るタイプ」か「無駄に残業して残業代を稼ぐタイプ」のフロントが多いです。
ちなみに「定時で帰る」ことが、仕事の効率がよいということで評価されます。
僕はちなみに定時で速攻帰ります(笑)
デベロッパー系管理会社で出世するには工事受注の金額よりも上司の評価が重要です。
コンプライアンス順守と上司との円滑な人間関係を構築するという能力が重要です。
独立系管理会社のフロントは、とにかくノルマを達成するためにぎらぎらしているフロントが多く、逆にぎらぎらしていない方は長く続かない人が多いですね。
ノルマを達成するということが一番の評価軸なので定時で帰る人は少ないですよ。
出世が早い人はノルマを年間ベースで達成している方が多いです。
フロントの価値観の違いについて、具体例をご紹介しますね。
工事の提案方法が異なる

例えば築15年のマンションの消防設備点検で煙感知器2台の不良があった場合とします。
どの管理会社のフロントも一般的に以下の提案を行います。
①不良があった煙感知器2台を交換する提案
②すべての煙感知器を交換する提案
ここで独立系管理会社は②の提案を採用してもらうために以下のようなリスクを強く説明し出来る限り②を採用してもらうようにごり押しなプレゼンをします。
・まとめて交換した方が工賃が安く済む
・火災発生時に正常に煙感知器が作動しないリスクを回避することができる
・正常に煙感知器が作動しなかった場合は、大事故になるリスクがある
デベロッパー系の管理会社のフロントは、
①と②の方法があるということやリスクも含めて説明することが仕事であり
方針は管理組合に委ねるというスタンスです。
デベロッパー系のフロントで予防保全の提案をごり押しするフロントは少ないですね。
なぜならごり押ししたところでフロントには手当ても何もないのでごり押しする必要がないんですよね。
予防保全の考え方で修繕することが望ましいですが、すべての設備を予防保全で修繕をしていくと大半のマンションは修繕積立金が不足します。
設備によって、予防保全の考え方で修繕するかどうかを事前に決定しておく方が良いですね。
最後に
独立系マンション管理会社からデベロッパー系管理会社に転職した僕が経験した管理会社によるフロントの違いをご紹介しました。
出世したいという欲が強い方は独立系管理会社がおすすめです。
心おだやかに仕事をしていきたいという方はデベロッパー系管理会社がおすすめですね。
僕個人の考え方としては、新卒はデベロッパー系管理会社が良いと思いますよ。
万が一辞めても経験者であれば独立系マンション管理会社への転職は簡単ですからね。