管理組合の役員で勉強熱心な方は、管理会社から管理委託契約を解約する事例が増加しているという話を聞いた事があるのではないでしょうか。
デベロッパー系のマンション管理会社にフロントとして勤務する僕が解約(撤退)する理由をご紹介しますね。
マンション管理会社から解約(撤退)する理由をご紹介します!!

実態として大手の管理会社では、いくつかの理由で管理組合との管理委託契約の解約を検討を進めている現状があります。
管理会社から解約をすることを社内では「撤退」と呼んでいます。
管理会社によっても解約(撤退)の基準や考え方が異なると思いますが、
僕が勤務しているデベロッパー系の大手管理会社では毎年管理組合との契約を継続するか解約(撤退)するかを協議しているんですよ。
では、裏話スタートです!!
管理会社からの提案を採用してくれない管理組合
管理会社というのは近年管理業務の効率化やIT化が加速しており、効率化やIT化の提案を管理組合に行っています。
収益が大幅に高い管理組合(都心の超高級マンションなど)であれば別ですが、提案を受け入れてくれない管理組合は解約(撤退)を検討することになります。
具体的な管理会社からの提案例をご紹介しますね。
管理組合で開設している口座の整理
詳しく説明すると複雑な話になるので簡単にご説明しますが、複数の金融機関で口座を開設している管理組合があります。
管理会社サイドとしては、必要最低限の口座で運用した方が管理がしやすいので、
必要最低限の口座で運用することを提案します。
10個の口座があると名義変更手続きも10個分になりますし、
10個の口座の残高を常に確認する必要があるから業務量が煩雑になるんです。
中には地方の信金での口座開設を希望するケースもあるんですよね~。
こうした意味合いから口座の整理をお願いするのですが、
「そんなの管理会社の都合だろ!!」的な感じで
年間年数百円~数千円の利息のために口座整理に応じて貰えない管理組合があるのも
実態でこういうケースは余程利益がない限りは解約(撤退)を検討するという形ですね。
管理会社は社内の経費削減を目的として、様々な業務を効率化を進めています。
簡単にいうと管理しているマンションの管理方法をすべて同じにすることが社内統制という側面で人的コストがカットできます。
お金がない(適正な資産が形成されていない)管理組合

ひどいと思われるかもしれませんが、
お金がない(適正な資産が形成されていない)管理組合との契約は解約(撤退)する傾向にあるのは事実です。
まぁ管理会社はボランティアではなく、営利企業ですからね。
管理会社の収益は管理委託費だけではないため
お金がない管理組合と契約していても利益を上げることができないだけではなく、
リスクや手間だけが増えてきます。
でもこの理由はなんとなく理解できますよね?
参考までにお金がない管理組合との契約を継続する管理会社からみたリスクをご紹介しますね。
管理委託費の値上げに簡単に応じてもらえない
最低賃金が年々増加しているために管理員や清掃員の賃金も必然的にアップしているため
基本的には管理委託費は値上げ傾向にあります。
お金がない(適正な資産が形成されていない)管理組合に管理委託費の値上げを提案してもスムーズに話がすすまないことが多いのが実情なんです。
なぜなら、管理委託費の値上げをするには組合員から集める管理費も同時に値上げしなければならないからです。
最低賃金は年々増加しておりますが、管理会社としては毎年値上げ提案は手間がかかるため数年に1度行うのが一般的です。
適正な修繕が実施されていないため事故が発生するリスクが高い
過去に管理会社が管理費や修繕積立金の値上げを提案しても採用せず、結果的にマンションの老朽化が進んでいるのにお金がなくて修繕が出来ない状態にあるようなケースです。
ちなみにですが、こういうケースはフロントが会社に以下のような報告を行います。
修繕積立金の値上げを提案しても採用されず、行政からの改善の指導が来ているのですが資金がないため工事が実施出来ない状況です。
当社から修繕積立金の値上げ提案や改善工事の実施提案をしていることは理事会の議事録に記載しておりますが、万が一大きな事故が起きた時に当社が風評被害をうける可能性があります。
こういうケースは会社として更新をしないという判断になることが多く、解約(撤退)となることが多いですね。
理事長や役員がフロントや管理員にハラスメントをしてくる

昨今問題になっているカスタマーハラスメントで、理事長や役員がフロントや管理員に恫喝したり、高圧的にクレームを言ってくるケースです。(いわゆるモンスタークレーマーですね)
すぐに解約(撤退)にはなりませんが、改善されなければ解約(撤退)します。
こういったケースは役員全員に理事長からカスタマーハラスメントを受けている旨の書面を送付し、改善されなければ解約(撤退)する旨を通知します。
普通の管理組合であれば、理事長を交代させる等の対応を取って頂けることが多いので、解約(撤退)に至るケースは少ないですけどね。
管理会社のフロントの立場からすると、モンスタークレーマーと長期間にわたり付き合っていく可能性が減るので
大賛成の傾向ですけどね笑
マンションの入居者同士でもめているケース

派閥的な感じで長年入居者同士が揉めていて、その争いごとに管理会社が巻き込まれているケースですね。
これも管理会社としては解約(撤退)と判断することが多いですね。
解約となるケースは、管理会社は平等な立場だということを説明するのですが理解してもらえず揉めている原因も管理会社にあるというようなとばっちりをうけているケースです。
こういう管理組合は決定しなければならないこともスムーズに決定されていかないので、必然的に管理会社から解約(撤退)となることが多いですね。
理事長や理事が業者と癒着し不正をしている管理組合

マンションで発生する様々な工事を特定の業者に発注しその業者から理事長や理事が見返りを貰っているケースです。
正確にいうとこのケースでは解約(撤退)はしないが、”解約になってもしょうがない”という位置づけになります。
実際に僕はこのケースの時に以下のような報告を経営陣に行いました。
理事長が業者Aと癒着している可能性があります。
業者Bから理事長より見返りを求めるような依頼があった旨を確認しています。
フロントとして口頭で改善の要請を行いましたが、改善されるかどうかわかりません。
また、何らかの理由をつけて当社との契約を解約する方向で動く可能性があります。
現在マンションで発生している殆どの工事を業者Aに発注しておりますが、理事長に見返りがあることの証拠はありませんが、状況から考えると限りなくグレーである可能性が高く、万が一見返りを貰っており、それが明るみになった時に入居者から管理会社へ苦情が殺到し、フロントがその対応に追われる可能性があります。
経営陣からは、
管理会社は理事会を監視をする立場にはない(管理組合の組織には監事という理事会を監視する役職があります)が、監事にその旨を報告しなさい。
それが理由で管理会社が変更されてもしょうがないという判断でした。
ちなみに僕が理事長と業者が癒着していることに気づいた理由をご紹介しますね。
最初は年間1回~2回の頻度で修繕工事を業者Aに発注していたのが、そのうちすべての工事をその業者Aに発注するようになりました。
その業者Aが実施できない分野の工事が発生した場合に、新たな業者Bに見返りを求めるような働きかけをしていることが業者Bより僕に連絡があり発覚しました。
管理会社から解約するテクニック

ずるいと思われるかもしれませんが、管理会社から解約する方法としては、契約更新の時に大幅値上げを提案することが多いです。
更新しない旨の通知や解約通知は、管理組合側に不快感を与えることになるため、よほどの事がない限りはしません。
管理会社としては穏便に終わりたいので、大幅な値上げを提案して、管理組合側から契約を更新しないという判断をしてもらう方法です。
フルのでなく、フラれるように持っていくということです。( ´∀` )
最後に
今回は管理会社から解約(撤退)する理由についてご紹介いたしました。
管理会社と管理組合が協力しあっていくのが理想の形だと思いますので、少しでも参考にして頂ければと思います。
実態としては、歴代のフロントが担当したくないと思うマンションは結果的に会社が解約を検討するマンションという位置づけになる傾向がありますよ。
なぜならそれがフロントのテクニックだからです。(笑)