エレベーターの改修工事は業者の比較検討が出来ないから適正価格なのかどうかわからない。
改修工事費の金額交渉のテクニックを知りたい。
分譲マンションに入居しているとこんな疑問を抱くことがあると思います。
僕は2005年からマンション管理会社でフロントとして働いていますが、
この業界に入るまでは知らなかった知識なので、エレベーター改修工事を検討されている管理組合は参考にしてくださいね。
【管理組合必見】エレベーター改修工事をお得に実施する方法をご紹介

一般的にエレベーターは設置から20年~25年程経過した頃にエレベーター保守業者から改修工事の提案があります。
エレベーターは人命にかかわる事故が発生する可能性もあるため、
安全・安心という観点からエレベーター保守業者からの提案に基づいて改修工事を実施しているマンションが大半です。
それでは、実際にフロントとして僕が実際に経験し実際にお得にエレベーター改修工事を実施できた方法をご紹介しますね。
改修工事を提案された時期より工事を遅らせる

一般的にエレベーターの改修工事の提案資料には、下記のような記載があります。
設置されているエレベーター部品の製造が〇〇年で終了するため、今後安定的な部品供給が困難になることが想定されます。
故障した場合に部品がない場合は、部品を制作するまでの一定期間エレベーターがストップするリスクがあるため更新工事を検討してください。
こういった提案がありエレベーター改修工事を実施する管理組合が大半です。
ポイントは、部品の製造は終了しますが部品のストックは一定数あるということです。
つまり、提案された時期よりもエレベーター改修工事を遅らせることは可能です。
築25年で工事するよりも築30年で工事した方が長いスパンで見るとお得ということです。
部品のストックがなくなるまでの期間は既存のエレベーターを使っていても特段の問題は生じません。
25年周期でエレベーターの改修工事を実施した場合は、75年という期間においては3回の改修工事を行うことになります。
改修工事を30~32年くらいまで遅らせることで75年という期間においては、2回の改修工事で済みます。
結果として大きな経費削減になります。
僕が管理会社のフロントをしていて感じている印象としては部品が製造中止になってから3年や5年でなくなるようなものではありません。
工事提案をしてきたメーカー系エレベーター保守業者は、部品のストックがいつまであるかどうかは明確には答えてくれませんが、
僕が担当しているマンションで管理組合が実際に行っていた改修工事の実施時期を遅らせ且つエレベーター更新工事費の大幅な減額に成功した交渉方法をご紹介していきますね。
改修工事の実施時期を遅らせる交渉方法

メーカー系エレベーター保守業者に一般的には部品のストックが何年ぐらいあるのか?という質問をしてみましょう。
「なんとも言えません」「1年~2年ぐらいですね」というような回答があると思います。
どのような回答があったとしても、独立系の保守業者に連絡し以下の内容を伝えたうえで保守点検の見積もりを取ってください。
✔メーカーから部品のストックが数年でなくなると言われており、保守点検業者の切り替えを検討しているため保守点検の見積もりを欲しい。
✔複数年の保守契約を締結したいので部品のストックが保証できる年数を提示してほしい。
✔エレベーター更新工事の見積もりも一緒に欲しい。
他社に確認することで、一般的にマンションの部品のストックがいつまでもつかの目安は確認することが出来ます。
この結果を基にメーカー系エレベーター保守業者にエレベーター改修工事の実施時期を遅らせる交渉を行うのですが、交渉のポイントは次の通りです。
・組合員から「エレベーター点検を独立系保守業者へ変更することを検討してほしい」旨の依頼が来ていることを伝える。
・独立系保守業者へ見積もりを依頼したら、「御社(メーカー系保守業者)よりも保守費用が安価で且つ部品はあと〇年は保証する」と言っている。
・理事会としては独立系保守業者へ変更はしたくないと思っているので、どうにか独立系保守業者と条件を合わせることはできないだろうか
交渉相手は人間です。
「理事会としてはメーカー系保守業者と契約を続けたいが
組合員からの要望も無視することはできないのでどうにかお願いできないか」
というスタンスでメーカー系保守業者に交渉しましょう。
どこまで年数を引き延ばせるかは断定できませんが、すくなくとも3年~5年は引っぱることができると思いますよ。
独立系の保守点検業者とはジャパンエレベーターサービスやSECエレベーターなどの業者ですべてのメーカーのエレベーター保守点検を行うことができる業者です。
改修工事費の交渉を行う

一般の方はメーカーのエレベーターはメーカー系の保守会社でなければ改修工事を行うことができないと思い込んでる方が多いと思いますが
独立系のエレベーター保守会社でもエレベーター改修工事は実施が可能です。
メーカー系の保守会社からエレベーター改修工事の提案を受けた場合は
必ず独立系のエレベーター保守会社に見積もりを依頼しましょう。
独立系のエレベーター保守会社でエレベーター改修工事を実施することをおすすめしているわけでありません。
独立系のエレベーター保守会社から改修工事の見積もりを取りメーカー系保守会社に金額交渉をする材料を得ましょう。
結果としてお得に改修工事ができる可能性が高くなるということです。
それでは確認です。
✔独立系のエレベーター保守点検の見積もり
✔独立系のエレベーター改修工事の見積もり
が揃った時点で、メーカー系保守業者のエレベーター更新の見積もりと比較してみて下さい。
メーカー系保守業者のエレベーター改修工事の見積もりが高いですよね?
保守点検費用もメーカー系保守業者が高いですよね?
それでは、改修工事費や保守点検費用を減額させる交渉方法をご紹介していきますね。
改修工事費を減額させる交渉方法

エレベーター保守会社は改修工事の受注も重要視しておりますが保守点検の継続契約も同じく重要視しております。
独立系の改修工事の見積もりを基に金額交渉を行う際は、
「組合員からエレベーター改修工事だけではなく保守点検も含めた検討の要請がきているが、理事会としてはメーカー系保守業者で継続したい。
しかし、金額を下回らないと継続が難しい可能性がある」というような交渉をしてみましょう。
交渉のポイントは次の通りです。
・組合員からエレベーター改修工事だけではなく保守点検も含めた検討をしてほしい旨の依頼が来ている。
・独立系保守業者へ見積もりを依頼したら、御社(メーカー系保守業者)よりも工事費と保守費用が安価であった。
・理事会としては、御社(メーカー系保守業者)で進めたいと思っているので、どうにか独立系保守業者と工事費・保守費用を合わせる又は下回ることはできないだろうか
交渉方法は工事を遅らせる方法とほぼ同じです。
ただし、改修工事費は独立系よりも下回ることは難しいかもしれませんが、すくなくとも減額交渉には応じてくれると思いますよ。
保守点検費用を減額させる交渉方法

エレベーターの保守点検の費用についても、独立系のエレベーター保守会社から見積もりを取ることで交渉がしやすくなるのはすでにご紹介済みです。
交渉をしないと改修工事前と同額の保守点検費用となりますが、交渉することで改修工事前の保守点検費用よりも減額することができる可能性は高いですよ。
最新機種のエレベーターは遠隔でエレベーター点検が可能であるため、点検者が現地を訪れて行う点検の回数を減らすことができるため、保守点検費用を減額してもらえるケースが多いんです。
エレベーターの保守契約は、POG契約(月額の保守費用に消耗品等の交換費用が含まれていない契約)と
フルメンテナンス契約(月額の保守費用に消耗品等の交換費用が含まれている契約)がありますが、
原則としてPOG契約からフルメンテナンス契約への途中変更はできません。
しかし、エレベーター改修工事のタイミングであれば、POG契約あらフルメンテナンス契約の変更も可能です。
最後に
エレベーター改修工事をお得に実施する方法をご紹介しました。
大半のマンションにはエレベーターが導入されており、大きいマンションであればエレベーターの台数が多いと思います。
エレベーター改修工事を実施する際は是非ともご参考にして下さい。
役員の方は日ごろの細かい支出のチェックも必要ですが、大きい金額が支出する修繕工事を出来るだけお得に実施することがとても重要ですよ。