他のマンションで行っている新型コロナウイルス対策が知りたい。
分譲マンションにお住まいの役員の方はこんな疑問があると思います。
僕は現役でマンション管理会社にフロントとして勤務しているため、このような質問をうけることが非常に多いので、
このような疑問を持っている方が多いのでは?ということで、
僕が担当しているマンションで実際に行っている「新型コロナウイルス対策」をご紹介します。
簡単にできる対策のため、まだ実施していない場合は参考にして下さいね。
マンション管理組合の新型コロナウイルス対策をご紹介

管理組合の役員の方は「管理組合として新型コロナウイルス対策をどこまでやればいいのか?」と悩まれている方も多いと思います。
基本的に多額の費用がかかることは理事会で決定しなければならないため、理事長が独断で決定するわけには行きません。
しかしならが、新型コロナウイルスが蔓延している状況下でなかなか理事会を開催するのも容易ではない状況だと思います。
管理規約においては、このような新型コロナウイルスが蔓延するような状況はもちろん想定されていないため、有事であっても理事会を開催せずに書面審議ができる規定はありません。
しかし、現在の状況は有事です。
理事会が有事と判断し、管理規約に規定がないとしても「書面審議で理事会運営を進める」という判断も選択肢としてあるということは覚えておいた方が良いかも知れませんね。
管理会社は立場上、管理規約に規定がない書面審議をおすすめすることはできません。
管理規約に規定がない時の対応は理事会の判断となります。
共用部に消毒液を設置する。

一番王道の対策だと思いますが、マンションの共用部である共用玄関の出入口やエレベーター前に消毒液を設置する対策です。
実際に行っている管理組合は多いですよ。
経験上、消毒液の設置に反対する方は少ないと思いますが、
✔「消毒は入居者個人でやるべきなので反対」
✔「消毒液が盗まれるかも知れないので反対」
という少数派の意見がありますが、本当に稀なので気にしなくていいレベルだと思います。
手をかざすだけで消毒液が噴射される機器のリースを行っている会社やマンション向けのコロナ対策商品も出てきてますよ。
管理員や清掃員による消毒清掃を依頼する。

管理会社が自主的に実施しているケースも多いと思いますが、
管理員や清掃員が日常の清掃作業の際に、エレベーターのボタンや手すり、ドアノブなどの人の手が触れる部分の消毒清掃作業を行う対策です。
もし、実施していない場合は実施をお願いしてみましょう。
こちらもすでに実施しているケースが大半だとは思います。
エレベーターの使用ルールを策定
エレベーター内はいわゆる3密になりやすい状況のため、エレベーターの使用ルールを設ける対策です。
ソーシャルディスタンスを保つという点や3蜜回避という点においては、有効な手段だと思います。
それでは僕が担当しているマンションで定めている具体的なルールをご紹介しますね。
・エレベーターに他の方が乗っている場合は同乗しない
・エレベーター内で乗り合わせた場合は会話をしない
簡単なルールですよね?
この対策は、ルールを記載した書面を掲示又は配布するだけで実施可能な方法です。
僕の実績では、管理組合に提案すると100%採用されています。
共用部の換気(空調設備)の設定を変更

マンション共用部の換気設備を強制的に常に動作する状態(ONの状態)にする対策です。
一般的にマンションの共用部(廊下・階段・エレベーター)の換気設備というのは、常時動いていることは少なく、湿度や時間で制御されていることが多いんですよ。
電気使用量は通常時よりは多くなりますが、「換気が重要」と言われている新型コロナウイルス対策としては有効だと思います。
実施の際は管理会社に依頼すればすぐに対応してくれると思います。
エレベーター内にも換気設備がありますので、同様に常に動作する設定に変更しましょう。
共用部におけるルールを策定

マンション内(共用部)に一定のルールを設ける対策です。
外出時にマスクを着用していない方は殆どいないと思いますが、
新型コロナウイルスに対する気の緩みが出ないように
共用部でのマスク着用をルール化しているマンションもあります。
新型コロナウイルスへの入居者の意識を高めるために、やらないよりは良いかもしれませんね。
それでは僕が担当しているマンションで定めている具体的なルールをご紹介しますね。
これについては、理事会での協議が必要だと思います。
✔共用部でのマスク着用の徹底
✔共用施設(集会室・キッズルーム・プレイルーム等)の一時閉鎖
✔宅配業者・清掃業者・工事業者等のマンション出入り業者へのマスク着用並びに検温徹底
消防訓練を書面で実施

実技の消防訓練は実施せずに「マンションの消防設備情報等をまとめた消防マニュアル」を作成・配布し、書面による消防訓練を行う対策です。
消防訓練の実施は消防法で決まっているため実施しなければなりません。
通常時は、通報訓練や避難訓練、消火器の使い方などの実技の訓練を行うことが多いと思いますが、新型コロナウィルスが蔓延している状況で、消防訓練の開催を悩んでいる管理組合は多いと思います。
コロナ禍においては、実技の消防訓練は実施せずに書面で消防訓練を実施している管理組合も多いですよ。
理事会は開催せずに、書面審議で対応する。

理事会は開催せずに、書面審議で進める対策です。
冒頭でもふれましたが、理事会を開催せずに書面審議で進めることについて管理規約に規定はありません。
書面審議の採用は理事会の判断になりますが、実際に実施している管理組合では、
短時間の理事会を開催し、
✔「当面の理事会運営は書面審議とすること」
✔「緊急性があり、且つ10万円以下の修繕は理事長に一任すること」
✔「各種点検の指摘事項の修繕(10万円以下)は理事長に一任すること」
を決議し、それ以降理事会を開催せずに書面審議で進めています。
標準管理規約において、理事会を書面審議で行うことの記載はないため、厳密にいうと管理規約外事項になります。
定期総会は議決権行使書の使用をお願いする。

新型コロナウィルスが蔓延している状況であるため定期総会を延期している管理組合もあると思います。
しかしながら、「次年度予算」や「管理会社との契約更新」「新年度の役員改選」など決定しなければならないことがあるのも事実だと思います。
コロナ禍になる以前から「議決権行使書」を採用している管理組合もあると思いますが、
コロナ禍においては「議決権行使書」を採用する管理組合が増えています。
議決権行使書とは・・・
定期総会に出席しなくても各議案に賛成・反対の意見が投じれるものです。
株主総会をイメージするとわかりやすいかもです。
そして、基本的には議決権行使書を用いて総会には出席しないようお願いし、定期総会を開催している管理組合が多いですね。
あくまでも定期総会への出席は拒むことができないのでお願いベースになる対策ですね。
この対策をとっても出席される方も稀にいますが、大多数の組合員の方にはご理解を頂けると思いますよ。
管理規約上、年1回は必ず総会を開催する必要があるのですが、国土交通省も昨今の状況を鑑みて総会を延期することについては問題ないという見解をだしています。
僕自身も新型コロナウイルスの問題が解決するのはいつになるかはわからないので、できる限り管理組合運営をストップしないないためにも、定期総会は開催した方が良いと思います。
余談ですが、総会の後や年末年始に懇親会を開催していた管理組合がありましたが、現在はすべて中止になっています。
いつか以前のように開催できるようになると良いですね。
理事会をZOOMなどのアプリを用いてオンラインで実施

集会室などで理事会を開催するのではなく、ZOOMなどを使用してオンラインで理事会を開催する対策です。
実態としては高齢の方が対応が難しいため、現時点で実施している管理組合は殆どありません。
電子的な方法を活用するには、管理規約の改正が必要ですが、事前に準備をしておけばいざという時にオンラインでの理事会運営が可能になるので、事前に管理規約を改正することが望ましいと思います。
今後は、若い方が多く住んでいるマンションはオンラインでの理事会を活用するケースが増えてくるとおもいますね。
大手管理会社の中には、オンライン理事会が可能な無料アプリを開発している会社もあります。
最後に
今回は、マンション管理会社にフロントとして勤務している僕が、管理組合で行っている「新型コロナウイルス対策」をご紹介しました。
近い未来に新型コロナウイルスが終息してくれることを願い、それまではみなさん力をあわせて頑張りましょう。