管理組合向け

現役フロントがマンション管理会社変更の失敗例をご紹介

変更

分譲マンションに住んでいると様々な理由で「管理会社の変更」の話が出ることがあると思います。

2005年からマンション管理会社で現在もフロントとして勤務している僕が、マンション管理会社を変更する失敗例をご紹介しますね。

なお、本記事は管理組合役員向けの記事となっています。

マンション管理会社変更の失敗例をご紹介

僕は現役のフロントで他のマンション管理会社が管理しているマンションを新たに管理(リプレイス)した経験が何度もあります。

僕がその時に感じた管理会社変更の失敗例というのがあります。

それは管理会社を変更しても改善されないことが管理会社を変更した理由になっているからです。

そしてそのような理由で管理会社変更を検討している管理組合が多いのも実態です。

過去に管理会社を変更した経験のある方で、失敗例に該当している場合は気を悪くしないでくださいね。

それでは具体的な管理会社変更における失敗例をご紹介していきますね。

【失敗例①】「漠然と良い管理会社に変更したい」という理由

漠然

漠然と「良い管理会社に変更したい」という理由や

「今の管理会社は何もしてくれない」という理由での管理会社変更はNGですね。

具体的に他社で受けたいサービスや今の管理会社のサービスの具体的に悪い所など

理由が明確になっていないと新しい管理会社に変更しても何も変わりませんよ。

もしこのような理由で管理会社変更を検討しているのであれば、

「管理組合として管理会社に何を求めているのか?」ということをアンケート等で入居者に確認した方が良いかも知れないですね。

嘘だと思われるかも知れませんが、

管理会社変更を検討している管理組合から見積もりの依頼があり、話を聞きに行くと

漠然とした理由で管理会社変更を検討している管理組合が本当に多いんですよ。

【失敗例②】マンション内のトラブルが解決されないという理由

管理会社変更を検討している理由としては、具体的ではあるのですが、

マンション内のトラブルが解決しない原因を

管理会社の責任に転嫁している場合が多く

大半が管理組合側に問題があるケースが多いです。

仮に騒音問題が解決されないという理由の場合ですが、

原因は管理会社の責任でしょうか?

騒音を出している入居者の問題であり、その入居者を退去させる権利は管理会社にはないんですよ。

管理組合の運営の主体は管理組合であり、管理会社ではありません。

管理組合の運営に管理会社は決定権がないことは最低限覚えておきましょう。

「管理会社にクレームを入れたが一向に問題が解決しない」と憤慨される方がおりますが、管理会社は連絡があった内容を理事会に伝え改善策を提案するのが仕事です。

改善策の実施の決定権は理事会にあるため、思い通りの結果にならなかった場合に「管理会社は何もしてくれない」「責任は管理会社にある」「管理会社を変更するべきだ」という流れになるケースが非常に多いですが管理会社を変更しても解決する問題ではないということですね。

【失敗例③】フロントや管理員の対応が悪いという理由

対応が悪い

実態としてフロントや管理員の対応が悪いということはあると思います。

そういった状況であれば管理会社に申し入れて変更してもらえばよい話であり、

管理会社を変更するという所までいくのはNG理由だと思いますね。

冷静に考えて「企業」対「企業」であれば、ありえない話ですよね。

ちなみにですが、「フロントの対応が悪い」「管理員の仕事ぶりが悪い」という理由であっても、深堀すると理事長がワンマンであるが故に発生しているケースも多々ありますよ。

緊急時などを除いては工事の実施や高額な備品購入は理事会で決定するのが原則ですが、理事長の独断で工事の実施や高額な備品購入の指示があった場合は、フロントは「理事会を開催して決定しましょう」という提案をします。

その際に、「前のフロントはそんなことは言わなかった。融通が利かない。フロントの対応が悪い。」というようなケースもあります。

余談ですがワンマンな理事長というのは一定数いることは確かです。

実態でいうと、長期で理事長をしている人やご意見番的な方の指示であれば、フロントは融通をきかせることが多いです。

なぜなら、融通をきかせなければフロントの対応が悪いという事になりトラブルに発展する可能性があるからです。

【失敗例④】融通が利かないという理由はNG

ルール

融通が利かないという理由で管理会社の変更を検討されているケースも多く見受けられますが、勿論理由としてはNGです。

僕の感覚ではこういう理由を言われる方はご高齢の方に多い傾向があるとおもいます。

大手の管理会社は融通は利きません。

大手は細部にわたって会社のルールというものが存在します。

小さな管理会社であれば、大枠のルールはありますが細部にわたってのルールがなくフロントの裁量が大きいイメージですね。

こういう理由で管理会社の変更を検討されているようであれば、一度冷静に考えて、管理会社に求めている「融通」の内容を深堀りしたほうが良いと思います。

僕の経験上、入居者から求められる融通として「現金をはやく出金してほしいのに手続きが煩雑」というような下記のケースが多いと思います。

・懇親会を開催したいから20万円の現金を用意するようにお願いしたら複数の書類に押印を求められた

・出金を依頼してから入金になったのが1ヶ月後であった

・マンションの住民が亡くなったので香典の出金を依頼したら複数の書類に押印を求めらえた

仮に20万円の出金を依頼して何の書類にサインすることもなく翌日にお金を持ってくることが入居者の財産を安全に管理するという観点で見ると良い管理会社でしょうか?

まずは、何に融通が利かないのかを深堀することをおすすめします。

大手管理会社は簡単に管理組合の口座から現金を出金することができないルールになっていて、出金する場合にはそれ相応のエビデンス(証拠書類)が必要となります。

以上が管理会社変更の失敗例ですね。

このような理由で管理会社変更を検討しているのであれば、是非再検討する必要があるとおもいますよ。

それでは、逆にこういう理由であれば管理会社を変更しても良いのでは?というケースをご紹介していきますね。

【変更しても良いケース】「経費削減」という理由

経費削減

経費削減を目的として管理の質は下がっても、管理委託費の安い管理会社に変更するという理由であれば、問題ありません。

大手管理会社から独立系の管理会社や地場の管理会社に変更することでほぼ間違いなく管理委託費は安くなりますがサービスの質は落ちるということを理解しましょう。

目的が管理の質ではなく管理の金額ということが明確になっていますからね。

変更した後に前の管理会社と同じサービスを新管理会社に求めるのはNGということは認識しておきましょう。

また、管理会社が不正を行っていた場合に、金銭的な補償が出来るだけの企業ではない場合に、不正に搾取されたお金が戻ってこないリスクがあるということも覚えておきましょう。

【変更しても良いケース】「具体的に受けたいサービスがある」

サービス

費用は高くなるけど、「〇〇社の〇〇サービス」を受けたいという理由であれば、管理会社変更理由としては全く問題ありません。

基本的に入居者の方は他のマンション管理会社のサービスの詳細を知らないことが多いため、具体的な「〇〇サービス」を受けたいというニーズは稀なケースですね。

ここでのポイントは区分所有者の大半が受けたいサービスなのかどうか」ということです。

一部の役員や高齢の方だけが受けたいサービスというのであれば、NGですよ。

最後に

マンション管理会社のフロント目線で管理会社を変更する際の失敗例をメインにご紹介しました。

ご紹介した失敗例はマンション管理会社を変更しても何も変わらないということです。

管理会社を変更をする際は変更理由を明確にしメリットやデメリットを認識すること

大半の組合員が管理会社変更を望んでいるのかどうかということが重要だと思いますので、是非ともご参考にして頂ければと思います。